どうも、付き合ってはいけない3Bについてバーテンダーが含まれることは聞き捨てならないうたかたです。
あるクリスマスイブイブの夜、1人の青年が扉を開けた。
Barの扉は質量の問題ではなく重い。
だからこそそれを開けて入って来る者には最大限誠実に敬意をもって迎える。
「明日好きな人とデートでBarに行く約束をしているんです。そこで告白したいと…。でもBarは初めてで…それで下見を…」
「そうでいらっしゃいましたか」
「何もわからないんですが…男が飲んで格好がつくカクテルをください」
「…承知致しました」
見立て20代前半くらいだろうか。
Barについてよくお調べになったのだろう。
お召し物もビシっとキマっていて素敵だ。
「御待遠様でした…」
Barでは有名なカクテル、『ギムレット』をお作りした。
レイモンド・チャンドラーの小説『ロンググッドバイ』
別れの酒としてギムレットを飲み交わしたはずの友人を想いながら放ったセリフ、
「ギムレットにはまだ早すぎる」
はあまりにも有名だ。
「ぐふっ…、強いんですね…」
「はい、ハードボイルドが似合うクラシックカクテルです」
「ありがとうございました…明日こちらにするかはまだわかりませんが…頑張ります」
「ご健闘をお祈り申し上げます」
思った通り、次の日のクリスマスイブに青年が扉を開けることはなかった。
ギムレットにはまだ早すぎたんだがな…
彼は上手くいったんだろうか…
舐めてやれ