濡れていた。
太ももの付け根──そこから、音を立てて吸われていた。
ぬちゅ、ぬぷ、じゅぶ…
まるで蜜壺に口をつけるように、
ねっとりと舌が這い、唇が押し当てられ、吸い込まれていく。
「ふっ…あっ…ん、んぅ…」
背中が仰け反ったまま、声にならない声が漏れる。
脚を開かされたまま、腰を抱えられ、舌で嬲られ続けている。
乳首は服の上から摘ままれ、くりくりと転がされていた。
下も上も、どちらも同時に溺れていく。
──レンズがあった。
フロントガラスの向こう、微かに光る何かが動いた。
撮られてる。
そう思った瞬間、
舌がぐっと奥まで入り込んできて、喉の奥で声がつまった。
「んんっ…だ、め…見られて、る、のに…」
そう言いかけて、舌先がクリトリスを巻き、
「ぢゅるっ」という音が響いた瞬間、
頭の奥が真っ白になった。
「や…っ…くる…イくっ…やぁっ…!!」
ぐっしょりと濡れた音が響き、
シートの上に、じゅわっと何かが溢れ落ちる。
撮られてるのに──
なのに、自分から腰を突き出していた。
羞恥と絶頂とが、ぐちゃぐちゃに混ざっていた。
脚を開かれたまま、
再びマイクが太ももの間に滑り込む。
「さっきのより、奥で締まってんだろ。今夜は映像も撮る」
彼の声と同時に、
スマホのカメラがこちらを向いていた。
「ずちゅっ…ぶちゅっ…じゅぼっ…っぬちゅ…」
最初の一突きで、
昨日よりも深く、下腹に響いた。
奥が痙攣するたび、
録音がぴちゃぴちゃと跳ね返す。
「乳首も震えてる。カメラ、ちゃんと拾ってるぞ」
「ん゛…っ、ぅっ、ん…んん……」
喘ぎと音が重なって、
声にならない声が喉からこぼれる。
「出すぞ。中でまた、締めさせてやる」
彼の腰が最後まで押し込まれた瞬間──
奥の奥が、びくっ、びくっ…と跳ねて
彼の射精をぎゅうっと締めつけながら、
またわたしの中に熱が溢れていった。
スマホのマイクが、
その音すら全部拾っていた。
「昨日の、聴けよ」
彼がスマホの再生ボタンを押すと、
ベッドルームにわたしの声が流れ始めた。
「ぅん…ん゛っ…くっ…ぅ…」
奥まで入ったときの声。
濡れた音がマイクに当たって跳ねる音。
「ぶちゅっ…じゅぼっ…ずちゅ…っ」
何度もイかされかけて、
声を殺したはずの喘ぎが──
全部、聴こえてくる。
「今の身体でもう一度…入れたらどうなるか、試すか?」
ローションなんて使われてない。
でも、再生されてる声を聴いてるだけで、
奥がじゅわっと反応した。
「……濡れてんじゃねえか。まだ挿れてねえのに」
羞恥より先に、
わたしの中が欲しがっていた。