「昨日の、録ってあるから」
朝いちばんにスマホを開いたら、
彼からそのひと言だけが届いていた。
一瞬で、背中に汗が滲んだ。
あの時のわたしの音──
乳首をねじられて、
アナルを広げられたまま、
身体の奥で跳ねていたあの感触。
「ぬちゅっ…ぐちゅっ…ん゛っ…くぅ…」
想像しただけで、下腹がきゅうっと反応する。
録音なんて、聞かされていないのに。
でも、あのときのわたしの“声”は、
もう彼のスマホの中にある。
他の誰かが、聴いてない保証なんて、
どこにもなかった。
「もっと脚、開いて」
「そのまま突いて、締めさせて」
命令が二つ。
でも、わたしの身体はひとつしかなかった。
乳首を転がされながら、
アナルを指でかき回されているとき、
奥まで一気に突かれた。
「ぅっ、ん゛っ……んぅ…っ」
吐息が跳ねて、腰が浮く。
片方の声に反応すると、
もう一方の視線が食い込んでくる。
わたしの締まりが、ふたりに試されてる。
恥ずかしいはずなのに──
奥の奥が、もっと欲しがっていた。
乳首に触れる指。
アナルの奥に、感じる気配。
どちらも、彼のじゃなかった──
はずなのに、拒めなかった。
「ここ、誰に触られてるかわかってる?」
昨日、彼がそう言った時、
わたしの中はぐちゅっと音を立てて締まっていた。
わたしの身体は、彼のものだった。
でも今は、
命令する声と、触れてくる手が、別々にある。
わたしの中を通り抜ける快感が、
誰のものか、もうわからない。

