「指、1本だけな」
彼が、あの人に言っていた。
わたしの身体のことなのに──
返事もできないまま、
膝の裏に触れる手に、
びくっと反応してしまっていた。
“まだ入ってないのに”
それだけで奥がじんわりしていた。
「こいつ、もう準備できてるじゃん」
そう言われた瞬間、
羞恥より先に、濡れていた。
ひとさし指が、ゆっくり
お尻の入り口をなぞったとき、
「はっ…」と短く息が漏れた。
入っていないのに、
アナルの奥がピクリと動いてしまった。
乳首を吸われながら、
彼に奥まで突かれていたとき、
顔のすぐそばに“あの人”のスマホがあった。
シャッター音は鳴らなかった。
でも、カメラはずっと光っていた。
「……っ、くっ…ふ…」
唇を噛んで抑えようとしても、
突かれるたび、
喉の奥で息が震えていた。
「見えてるよ」って言葉が脳裏をかすめた瞬間、
奥を突かれる音が一段と生々しくなって、
ぐちゅ、ぬちゅ、ぬちゃっ…と空気が揺れる。
わたしは指を丸めたまま、
腰が勝手に浮いていた。
昨日の夜、彼に言われた。
「おまえが締まるたび、音でわかるらしいぞ」
わたしの中の濡れた音が、
もう、“わたしだけのもの”じゃなくなっていた。
「……そんなの、嘘でしょ」
そう思っていたのに、
朝、DMが届いていた。
「音がリアルすぎて、指が止まりませんでした」
その一文を読んだだけで、
下着の奥がじっとりしていた。
あの“ぐちゅっ、ぬちゃっ”という音が、
誰かの耳に届いていたと思うと、
脚の付け根から熱が這い上がってきた。
まだ突かれてもいないのに、
乳首が、わずかに立っていた。

