宮城県/デリヘル

『夜間飛行 60分¥10,000』

2025.06.03.火
「気づいた目線」

休憩室の扉が閉まる音と同時に、心臓が跳ねた。

そこにいたのは、職場の年下の彼。

無言のまま水を取るふりで、ちらりとこちらを見るその目が、妙に静かで、熱を帯びていた。

──まさか、昨日の投稿…見てる?

そんな不安が、胸の奥でざらりと音を立てた。

「先輩、あれ…」

彼が低く呟いたとき、わたしの背筋が一気に冷える。

けれどその声は、問い詰めるようなものではなく、妙に湿り気を含んでいた。

「……あれって、見たの?」

わたしの声がかすれると、彼は少しだけ笑った。

「コメント、つけたの俺ですよ。気づいてなかったんですか?」

指先が震える。

“見たよ”ボタンを押していた誰かの中に、彼がいたなんて。

あの、濡れて乱れて、見られている妄想に溺れていたわたしを──

まさか、後輩が現実の中で共有していたなんて。

「……もう削除したほうがいいと思いますか?」

なんとか平静を装った声で訊くと、彼は小さく首を振った。

「いえ……むしろ、続きが気になってたんで」

その一言で、足元が崩れそうになった。

羞恥と、快感と、なにか満たされてしまったような背徳感。

静かに、けれど確実に、境界線がゆっくりと溶けていく──。

投稿日:2025.06.03(火)10:39:23
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