脚を縛られたわけじゃないのに、開かされたまま動けなかった。
仰向けのまま、ベッドの縁に尻を寄せて、腰の下に丸めたタオルが入れられる。
そこに置かれるのはスマホのマイク。
「今日は、おまえの“締まり”が録れるか試す」
低く呟かれた声に、乳首がぴくりと立つ。
わたしの脚は、自分の意志ではもう閉じられなかった。
視線の先には、男がもう一人。
喋らない、動かない、ただ椅子に座って、じっと見ている。
録音と、視姦と、命令。
それだけで、脚の間からじゅわっと音が立つほど、身体の奥が熱くなっていた。
「動くなよ。音、濁るからな」
そう言って彼が、下着の脇から指をすべらせる。
くちゅっ、ぬちゅっ……と最初から音が出てしまう。
「……もう濡れてんのか。声、我慢できなかったら出せ」
そう言いながら、片方の乳首を指先で軽く転がす。
ぐちゅっ、ずちゅっ、ぬぼっ……
わたしの中に、浅く、何度も何度も擦るように出し入れされる。
「……ぅん゛っ、んっ…くっ……っ」
喉の奥で押し殺した喘ぎ。
声を殺すと、音がよく聴こえる。
自分の中が、こんなに濡れてるなんて、
こんなにいやらしい音が鳴るなんて、
再生されたらどう思われるんだろう──
そう考えただけで、脚の奥が痙攣する。
「ほら、また締まった。奥の声がちゃんと録れてるぞ」
乳首をひねられた瞬間、腰がびくんと浮いた。
指は浅いまま、でも中は勝手に飲み込もうとして、ぴくぴくと締まってしまう。
ずちゅっ…ぬちゅっ…じゅぼっ……
マイクがその全部を拾っていた。
見られている。録られている。
でも逃げられない。
いや──逃げたいとも思っていない。
突き上げじゃない。激しさでもない。
浅く、じらし、なぞるように擦られるだけで
わたしの中は、もう、限界まできていた。
「イクなら、締めろ。声は録った」
その一言で、
喉の奥が震えて、
乳首が硬く痙攣して、
奥がずぶずぶに締まりきったまま、
声にならない声をこぼして、
わたしは果てた。
マイクの横で、ぴちゃっと音が跳ねた。
脚も、手も、自由だったのに。
身体はまったく動けなかった。
ベッドに仰向けに寝かされて、
乳首を指先で転がされながら、
ぐちゅっ、ぬちゅっ…と奥を浅くなぞられる。
「ちゃんと録れてるからな。音、途切れんなよ」
スマホのマイクがわたしの横に置かれていて、
浅い吐息も、
腰を突き上げられた瞬間の濡れた音も、
全部拾っていた。
「っ…んっ、ぅ……く…」
声を抑えるたびに、
奥の感度が増していく。
誰にも触れられていないのに、
乳首だけで絶頂しそうになる瞬間、
彼はやっと奥まで一気に突き上げてきた。
わたしは声を殺したまま、
シーツを握りしめて震えていた。
起きてすぐに、
空気が違うとわかった。
彼はなにも言わなかった。
でも、洗面所で髪を整える背中越しに
わたしをじっと見ていた。
「今夜は、長くなるから覚悟しとけよ」
その言葉ひとつで、
脚の奥が反応した。
なにをされるかも、どこをどうされるかも、
知らされていないのに。
身体のどこかが、
ゆっくりと熱くなっていくのがわかった。