起きてすぐに、
空気が違うとわかった。
彼はなにも言わなかった。
でも、洗面所で髪を整える背中越しに
わたしをじっと見ていた。
「今夜は、長くなるから覚悟しとけよ」
その言葉ひとつで、
脚の奥が反応した。
なにをされるかも、どこをどうされるかも、
知らされていないのに。
身体のどこかが、
ゆっくりと熱くなっていくのがわかった。
「今日は、残すぞ。ちゃんと」
彼の言葉と同時に、
スマホの画面に赤い●RECが点いた。
尻を両手で開かれて、
ぬるっと塗られたローションの冷たさに震える。
そのまま、アナルの奥に
ずぶっ…ずちゅっ…と彼の熱が沈んでいった。
「ぅぐっ…ん゛っ……あ゛…っ」
唇を噛んでも、喉の奥が震えるのが止められない。
「声、我慢すんな。マイク拾えなくなるだろ」
乳首を摘まれながら、
尻の奥でぬちゅ、ぬちゅっ、と音が鳴る。
録音されてるとわかってるのに、
腰が跳ねるのを抑えられなかった。
記録されながら突かれる“わたし”は、
もう、わたしだけの身体じゃなくなっていた。
「昨日の、録ってあるから」
朝いちばんにスマホを開いたら、
彼からそのひと言だけが届いていた。
一瞬で、背中に汗が滲んだ。
あの時のわたしの音──
乳首をねじられて、
アナルを広げられたまま、
身体の奥で跳ねていたあの感触。
「ぬちゅっ…ぐちゅっ…ん゛っ…くぅ…」
想像しただけで、下腹がきゅうっと反応する。
録音なんて、聞かされていないのに。
でも、あのときのわたしの“声”は、
もう彼のスマホの中にある。
他の誰かが、聴いてない保証なんて、
どこにもなかった。