こんばんは。シズカです🎥
本日も一緒に過ごして下さった皆さん、ありがとうございました😊
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休暇中に「侍タイムスリッパー」を観てきました。
幕末の侍・高坂新左衛門が雷に打たれて、令和の世にタイムスリップ、時代劇の斬られ役を志すーーというストーリーです。
以下、感想。
⚡️主人公は東北訛りの佐幕派の武士、ということで、どうしても「壬生義士伝」の吉村貫一郎を彷彿とします。
吉村役は、ドラマ版の渡辺謙バージョンが泥臭くて好きです。
物語の主人公に必要な要素の一つが「見ていて応援したくなるか」だと思うのですが、新左衛門の実直な人柄がひしひしと伝わってきて「まわりの人々が、彼の良さに気づいてくれますように」「彼が現代で、自分の居場所を見つけられますように」と応援せずにはいられませんでした。
⚡️そこかしこに黒澤映画へのオマージュが感じられるのですが、ワタクシが「洒落てるな〜✨️」と思ったのは以下のシーン。
新左衛門は、殺陣の撮影中に「お前の動きだけ、なんか違う」と指摘され「竹光だと重さがないため、本身の動きと違くなる。竹光でも本身の重さを視覚的に表現できないか考えていました」と答えます。
真剣を腰に差して歩くと、重さで自然に腰が落ちる。現代人はそれを実体験として知らないから、竹光でやるとその歩き方ができない。だから、黒澤監督は役者に真剣を差して歩かせた、という逸話があります。
印象的なシーンをそのまま再現するのではなく、このような形で自分の作品に移植する。
「真剣の重さを皮膚感覚で知る侍が映画製作に参加したら、黒澤監督と同じ考えに至った」というアイディア、これ以上ないくらいの、黒澤監督への敬意だよね。
⚡️庶民が安価で甘い菓子を食べられるようになった世の中に涙し、同胞たちが惨たらしい形で無念の最期を遂げたことに涙し、掌を合わせる。
新左衛門役の山口馬木也氏の演技があまりにも真に迫っていて、「この人、本当にタイムスリップしてきた侍なんじゃなかろうか……」と思うほど。
新左衛門という男は、自分の強さ、巧みさを、人々がよりよく暮らせる世のために用いようと、心を砕いてきた人間なんだろうな、と作中に描かれていない部分の彼の生き様まで浮かんでくるようでした。
安田監督は「皆さんには侍を目撃してほしかった。有名過ぎる俳優さんとかだったら、どうしても本人に見えてしまうけど、それがこの作品にはないので、本当に江戸時代の人が現代に来ていろいろとやっているように見えるはず」と語っていて、インディペンデントの強みをここで活かしてくるか!と、その強かさ、発想の転換に感服しました。
⚡️ヒロイン役の沙倉ゆうのさんが可愛い。めちゃくちゃ可愛い。45歳でこの瑞々しさ、愛くるしさはすごい。
⚡️お寺の大黒さん役の紅萬子さんも、包容力、生活感、チャーミングさがリアルで素晴らしい。いるよ、こういう大黒さん。
⚡️もともとは単館上映の自主制作映画が話題を呼んで全国ロードショーへーーというバック・グラウンドもワタクシ好みです。
10名ほどのスタッフで制作しており、安田監督は監督業だけでなく、脚本・編集・照明・衣装・チラシ作成・パンフレット製作など11役以上を1人でこなしていた、という映画への情熱。
タランティーノに見せたい。
タランティーノは映画監督である前に、ガチの映画オタクなので「タランティーノに見せたい」は最大級の賛辞です。
⚡️来年の抱負はいろいろあるのだけれど、殺陣の良し悪しがわかる人間になりたいなぁ。