仏教には、因果応報という概念があります。善行は善い結果を、悪行は悪い結果をもたらすといった考え方で、仏教において重要な位置付けの教えです。また、古代のインド哲学では因果応報と輪廻の思想があり、旧約聖書には因果応報に近い考え方の詩篇があります。
りあんは万人に対して「優しい人」で在りたいと、常日頃から考えています。身近な人や縁を大事に、大切にしたいと思っていて。でも悲しいかな、りあんは凡人でしかないから、特別なことはしてあげられないのです。恩着せがましいのも品がないので、今のところは、誰かが悲しそうにしている時は、目を見て話を聞いて、側にいる、ただそれだけです。
そんなりあんですが、未熟ゆえに、仄暗い感情に支配されることも多々あります。誰かの発言に傷ついた際に「意のままに言い返してしまいたい。発した言葉が、燕返しかのように相手を傷つけるとわかっていても、言ってしまいたい」と黒い衝動に駆られるのです。
その時は一呼吸置いて、因果応報の概念を思い出します。もし、今ここで。りあんが言い返してしまったら。悪行の結果として悪い報いがもたらされること。そして、りあんに憎しみ、恨まれてしまった相手にも、因果応報ゆえに悪い報いがあるかもしれないこと。
だからこそ、りあんは【情感を流しきるように】しています。夜の海は真っ黒で、果てが見えず。足元を掬われて、感情すべてが飲み込まれそうになるけれど。波静かになれば、それは夜凪であって、全てを赦す原風景なのです。
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